③ 記憶定着技術についてはじめに この記事は勉強ができるようになる方法を体系的にまとめた「勉強力の論理構造」の④ Technique System(学習技術・知識)を最適化する方法の1つ、「③ 記憶定着…
具体例多様化について
「具体例多様化(Variability of Examples)」は、記憶定着を強化するための非常に強力な手法で、ポイントは 「同じ知識を複数の文脈・状況で学ぶ」 ことです。脳は一つの状況でしか学習されない情報を「限定的にしか使えない知識」としてしまう傾向があります。逆に、異なる状況で同じ内容に触れると、抽象的・汎用的な理解が生まれ、記憶が強化されます。以下に詳しく解説します。
1. 基本原理
狭い文脈で学ぶ → 記憶は特定状況に結びつく
例:数学の公式を「教科書の例題だけ」で学ぶと、テストで見慣れない形の問題が出ると使えない
異なる文脈で学ぶ → 記憶が柔軟になり応用力が高まる
例:同じ公式を別の問題タイプ、生活場面、図解などで練習する
2. 具体例多様化の方法
異なる文脈・問題で練習
数学:同じ公式を文章問題・図形問題・計算問題で練習
英語:単語を文章・会話・絵と紐づけて覚える
歴史:年号だけでなく「その時代の人物・文化・出来事」と結びつける
異なる感覚モードで学ぶ
読む、書く、聞く、話す、描くなど、異なる感覚で触れる
例:単語を音読→書く→絵で表す
日常・身近な状況に結びつける
学んだ知識を日常生活や趣味の中で応用
例:物理の運動の法則をスポーツの動きに当てはめる
類似例と対比させる
似た概念を比較することで区別と理解が深まる
例:「密度」と「比重」を複数の物質で比べる
3. メリット
記憶が単なる丸暗記でなく「理解として定着」
テストや実務など新しい問題にも応用可能
忘れにくくなる(エビングハウスの忘却曲線に対抗)
4. まとめ
「具体例多様化」は、一つの知識をできるだけ多くの場面・形で触れること
理解の抽象化と応用力強化につながる
単なる復習ではなく、学習内容を「活用する」形で練習するのがポイント
具体例多様化の問題点について
「具体例多様化(Variability of Examples)」は強力ですが、万能ではなく、いくつかの問題点・注意点があります。ポイントごとに詳しく整理します。