目次
はじめに
トリガー設計について
トリガー設計(If-Thenルール)は、習慣形成の中核になる要素です。BJ Foggの「Tiny Habits」やJames Clearの「Atomic Habits」で繰り返し強調されているのも、この「行動を起動させる仕組み」をどう作るか、という点です。
トリガー設計の基本
- If-Thenルール(もし〜したら、その後〜する)で学習行動を環境や既存の習慣に結びつける。
- 脳は「環境に依存して行動する」ため、勉強を「意志力」ではなく「トリガー」に委ねることが狙い。
トリガーの種類
- 時間トリガー
- 例: 「朝7時になったら英単語アプリを開く」
- メリット:わかりやすくルーティン化しやすい
- 注意点:予定がずれると崩れやすい
- 場所トリガー
- 例: 「カフェに座ったら、ノートを開く」
- メリット:空間との結びつきが強力
- 注意点:環境が変わると習慣が崩れやすい
- 既存習慣トリガー(Habit Stacking)
- 例: 「歯を磨いたら、10分だけ復習する」
- James Clearが提唱。最も強力で続きやすい。
- 感情・行動トリガー
- 例: 「SNSを開きたい衝動を感じたら、まず英単語を3つ覚える」
- 欲求や衝動をトリガーに変換する応用法。
成功するトリガー設計のコツ
- 具体的にする ✗「夜に勉強する」 ◯「夕食を片付け終えたら机に座って10分勉強する」
- 小さく始める
- 最初は「1分」「1ページ」でOK。トリガー後のハードルを極限まで下げる。
- 既存習慣に寄生させる
- 習慣の“寄生”は強力。例:「コーヒーを淹れたら参考書を開く」
- 「忘れない仕掛け」を置く
- 視覚的サイン(机の上に本を置く)
- デジタルリマインダー(スマホ通知)
具体例(勉強に応用)
- 朝のルーチンに埋め込む: 「歯磨きを終えたら英単語アプリを1分」
- 通勤・通学に合わせる: 「電車に座ったらKindleで教材を開く」
- 夜の習慣に乗せる: 「お風呂に入った後に、今日の勉強を3行だけ日記に書く」
トリガー設計の問題点
トリガー設計(If-Thenルール)は強力ですが、当然ながら落とし穴や問題点もあります。実践でつまずきやすいポイントを整理します。
1. トリガーが曖昧すぎる
- 例:「夜に勉強する」→ 夜って何時?どの行動の後?
- 曖昧だと脳がスルーしやすい。
- → 明確さ不足が失敗の原因になる。
2. トリガーが非現実的
- 例:「帰宅したらすぐに机に座って勉強する」 → 実際は「帰宅後にスマホチェック → 疲れて休憩 → 気づいたら時間が経過」。
- 現実の行動フローに合わないと破綻しやすい。
3. トリガーの重複や競合
- 既に別の習慣と強く結びついている行動に、さらに新しい習慣を乗せようとすると衝突が起こる。
- 例:「コーヒーを淹れたら参考書を開く」→ 実際はコーヒーを淹れた後はスマホを見るのが習慣。
4. トリガー環境が不安定
- 場所や時間に依存する設計は、環境が変わると崩れる。
- 例:旅行や出張、生活リズムの乱れで習慣がストップ。
5. トリガーが“弱すぎる”
- 「なんとなく思い出す」程度の曖昧な感情トリガーは、意志力が必要になり続かない。
- → 脳にとって“自動的に行動が出るレベル”でないと難しい。
6. 行動のハードルが高すぎる
- トリガー後の行動を大きく設定しすぎると挫折する。
- 例:「歯磨き後に英語を30分勉強」→ 3日で崩壊。
7. ご褒美がないと持続しない
- トリガー自体は行動を「始めさせる」仕組みであって、続けさせるのは報酬や達成感。
- トリガーだけに頼ると「義務感」になって習慣が消えることがある。
8. トリガー忘れ問題
- 「トリガーに気づかない」「忙しくて飛ばす」と習慣は途切れる。
- 習慣化の序盤は特に、リマインダーや視覚的サインが必要。
まとめ
- 曖昧・非現実的・環境依存・過負荷が典型的な失敗要因。
- トリガーは「確実に毎日発生し、ほぼ自動的に実行できる行動」に乗せるのがコツ。