目次
はじめに
結論から言うと、「時代が変わっても変わらないもの」以外は、原則として時代によって変化するべきですが、それは「流行に迎合する」という意味ではなく、不変の本質をよりよく実現するための変化であるべきだと思います。
1. 「変わらないもの」とは何か
まず重要なのは、「時代が変わっても変わらないもの」が何を指すのかを明確にすることです。
これは多くの場合、以下のようなものです。
- 人間の本質(感情・欲求・弱さ・成長欲求)
- 倫理や価値の核(誠実さ、他者への配慮、尊厳)
- 目的・理念・ミッション
- 構造的な原理(因果、学習、成長のメカニズム)
これらは、社会制度や技術が変わっても、根本ではほとんど変わりません。
むしろ、ここを見誤ると「変えてはいけないもの」を変えてしまい、軸を失います。
2. 変化するべきものは「手段・形式・表現」
一方で、時代によって変化するべきなのは主に以下です。
- 手段(技術、ツール、方法論)
- 形式(働き方、学び方、組織の形)
- 表現(言葉、メディア、デザイン)
- 優先順位(制約条件が変わるため)
例えば、「人を育てる」という目的は不変でも、
- 黒板と教科書
- 動画、AI、個別最適化学習 では、最適なやり方は時代で変わるのが自然です。
変わらない目的を、変わり続ける環境で実現するには、
変化しない方がむしろ不誠実になることすらあります。
3. 「変わらないもの以外は変わるべき」という言葉の落とし穴
ただし、「変わらないもの以外はすべて変えるべき」と単純化すると危険です。
なぜなら、多くの人や組織は、
- 本当は「変わらない本質」を言語化できていない
- その結果、守るべきものと変えるべきものを混同する
からです。
その状態で変化を急ぐと、
- 軸がブレる
- 一貫性を失う
- 信頼が崩れる
といった問題が起こります。
つまり大切なのは、
何を変えないのかを、先に徹底的に定義すること
です。
4. 本質的には「変わるために、変わらない」
一段深く見ると、少し逆説的なことが言えます。
- 変わらない価値を守るために、変わり続けなければならない
- 表層を変えないことが、本質を壊す場合がある
これは個人にも当てはまります。
例えば、
- 「誠実でありたい」という価値を持つ人が、
- 時代の変化で不誠実な制度に加担し続けるなら、
- それは「変わらない」のではなく「止まっている」
ということになります。
5. 良い変化の判断基準
では、どう判断すればよいのか。
一つの有効な基準はこの問いです。
この変化は、守りたい本質をよりよく実現しているか?
- YES → 変化すべき
- NO → 変えてはいけない、または再設計が必要
「新しいから」「流行っているから」ではなく、
不変の軸との関係で変化を評価することが重要です。
まとめ
- 時代が変わっても変わらないもの(本質・価値・目的)は、守るべき
- それ以外(手段・形式・表現)は、原則として変化するべき
- ただし、変化は「本質を実現するための変化」でなければならない
- 何を変えないかを定義できてこそ、正しい変化が可能になる
言い換えるなら、
変わらないために、変わり続ける。変わり続けるために、変わらない軸を持つ。
この緊張関係こそが、個人や社会が成熟していくための核心だと思います。