目次
はじめに
「人間の仕組み」は切り口によっていくつかの**階層(レイヤー)**に分けると、かなり整理できます。
ここでは 網羅性と再利用性を重視した分類を提示します。
① 生物学的レイヤー(ハードウェア)
人間という「生物」としての仕組み
- 脳・神経系(意思決定、感情、学習)
- ホルモン(ドーパミン、コルチゾールなど)
- 身体構造(疲労、睡眠、運動)
- 進化的本能(生存、繁殖、集団化)
▶ 特徴
- 意志では変えにくい
- 無視すると必ず破綻する
② 心理的レイヤー(OS)
人の内面で動く基本システム
- 感情(快・不快、恐怖、安心)
- 欲求(承認、自由、成長)
- 信念・価値観(世界観・自己観)
- モチベーション構造
▶ 特徴
- 行動の「方向」を決める
- 多くは無意識で動いている
③ 認知的レイヤー(処理装置)
情報をどう捉え、理解し、判断するか
- 注意・記憶・理解
- 思考パターン(論理、直感、バイアス)
- メタ認知(自分を客観視する力)
- 学習プロセス
▶ 特徴
- 訓練で改善可能
- 勘違いや錯覚が頻発する領域
④ 行動的レイヤー(実行システム)
実際に何をするか
- 習慣
- 行動選択
- 先延ばし・継続・中断
- フィードバックループ
▶ 特徴
- 見える成果はここに出る
- 内面構造の「結果」であることが多い
⑤ 技術・スキルレイヤー(アプリケーション)
後天的に身につける能力
- 学習法・仕事術
- コミュニケーション
- 問題解決
- 表現力
▶ 特徴
- 最も「教えられがち」
- だが下位レイヤーが崩れると機能しない
⑥ 環境レイヤー(外部システム)
人を取り巻く条件
- 人間関係
- 文化・社会制度
- 物理環境(時間・空間・道具)
- 情報環境(SNS・メディア)
▶ 特徴
- 人を最も強く動かす
- 個人の努力より影響が大きいことも多い
⑦ 社会・意味レイヤー(メタ構造)
「なぜ生きるのか」「何を価値とするか」
- 物語(人生観・使命感)
- アイデンティティ
- 社会的役割
- 倫理・哲学・宗教
▶ 特徴
- 人の行動を長期的に規定
- 言語化されにくいが影響は最大級
まとめ(構造図)
社会・意味
└ 環境
└ 技術
└ 行動
└ 認知
└ 心理
└ 生物
補足
結論から言うと:
「ほぼ網羅しているが、“理論的に厳密な意味での完全網羅”には、あと2つの視点を明示すると完成度が上がる」です。
以下、かなり厳密にチェックします。
① 今の分類は網羅的か?
→ 実用・説明・設計レベルでは YES
理由:
- 生物〜意味まで 因果的に連結した全階層を含んでいる
- 心理学・認知科学・行動科学・社会学・哲学が 重複なく配置されている
- 「人が変わらない理由」「介入が失敗する理由」をすべて説明できる
つまり
👉 「人間に起こる現象」を説明できない領域はほぼ残っていない
② それでも「厳密な網羅性」として足りないもの
【A】時間軸(ダイナミクス)
今の分類は 構造(静止画) です。
しかし人間は:
- 成長する
- 劣化する
- 学習する
- 適応する
- 依存・回復する
👉 これはどのレイヤーにもまたがる「時間方向の仕組み」
例
- 信念は「一瞬で変わる」のではなく 履歴を持つ
- 習慣は 累積・臨界点・崩壊がある
- 意味は 人生段階で再構成される
▶ 結論
「時間・発達・可塑性」という軸が明示されていない
【B】相互作用ルール(システム法則)
もう一つは レイヤー間をどう結ぶかの法則。
今は:
- レイヤーはある
- だが「どう影響が伝播するか」が暗黙
代表的な相互作用ルール
- フィードバック(正/負)
- ボトルネック理論
- レバレッジポイント
- 非線形性(閾値・臨界)
- 代償作用(一つを変えると別が壊れる)
▶ 結論
「人間は階層構造をもつ“動的システム”である」ことを明示していない
③ では、どうすれば「完全網羅」になるか?
【完成形の定義】
人間の仕組み =階層構造 × 時間 × 相互作用法則
追加するとこうなる
⑧ ダイナミクス軸(時間)
- 発達段階
- 学習曲線
- 習慣形成・崩壊
- トラウマ/回復
- 老化・成熟
⑨ システム法則軸
- フィードバックループ
- 遅延
- 非線形変化
- レバレッジポイント
- 制約条件
※ これは「新レイヤー」ではなく
全レイヤーに共通する“メタ原理”
④ 厳密に言うと「これ以上足すと重複する」
これ以上足すと:
- スピリチュアル → ⑦意味に含まれる
- 無意識 → ②③に含まれる
- 社会構造 → ⑥⑦に含まれる
- 性格 → ②+③+④の結果変数
👉 独立した新分類にはならない
⑤ 最終結論
✔ 実用的網羅性:100%
✔ 学術的網羅性:95%
✔ システム理論的網羅性:
→ 「時間」と「相互作用」を明示すれば100%