目次
はじめに
「回避動機(avoidance motivation)」について整理します。
回避動機とは?
- 「失敗・不安・否定的な結果を避けたい」 という欲求から生まれる動機。
- 行動の目的が「達成」ではなく「回避」にあるのが特徴。
- 学習を推進する力にはなるが、ポジティブな楽しさよりも「圧力」や「防衛感覚」が強い。
理論的背景
- アプローチ/回避動機理論 人間の行動は「報酬や成功に近づくため(アプローチ)」と「失敗や損失から逃れるため(回避)」に大別できる。
- 回避動機は特に「不安や恐れ」をベースにしており、学習心理学ではしばしば 不安動機(anxiety motivation) とも関連づけられる。
特徴
- メリット
- 危機感が行動を引き出す(締切効果・背水の陣効果)。
- 「最低限の失敗は避けたい」という気持ちが、一定レベルの努力を保証する。
- デメリット
- 学習を「義務・恐怖」と結びつけやすく、楽しさや探究心を損なう。
- 失敗への恐怖が強いと、挑戦を避けたり、消極的学習(最小限の努力だけ)に陥る。
- 長期的にはストレスや燃え尽きにつながる可能性が高い。
具体例(学習場面)
- 「テストで赤点を取ったら進級できないから必死に勉強する」
- 「親に怒られるのが嫌だから宿題をやる」
- 「同級生にバカにされたくないから授業を真剣に聞く」
- 「就職で落ちたくないから資格を取る」
他の動機タイプとの違い
- 外的動機(統制型) → 報酬・承認を得るために動く
- 回避動機 → 罰や失敗を避けるために動く
- どちらも「外部起因」に近いが、回避動機は ネガティブな感情(不安・恐怖) がベースになっている点で異なる。
まとめ
🔹 回避動機は「失敗や不安を避けたい」という欲求が源泉。
🔹 短期的な努力を引き出す力は強いが、学習を消極的・義務的にしやすい。
🔹 他の動機(特に内発的動機や内在化された外発的動機)と組み合わせることで、健全に活用できる。