目次
はじめに
「内在化された外発的動機(internalized extrinsic motivation)」は、外部から与えられた目標や理由を 「自分ごと」として取り込んだ状態 を指します。
内在化された外発的動機とは?
- もともとは 外的な要因(親や先生の期待、社会的な目標) がきっかけ。
- しかし、それを「自分の価値観や目標」として受け入れたことで、外的動機でありながら内発的に近い安定感と持続力 を持つようになる。
- 学習の推進力としては、内発的動機と外的動機の“橋渡し” 的な存在。
自己決定理論における位置づけ
Deci & Ryan は外発的動機を「どの程度内在化されているか」で段階づけています。
代表的なのが以下の4段階です:
- 外的調整(External Regulation) → 「ご褒美のために」「怒られるからやる」
- 取り入れ的調整(Introjected Regulation) → 「やらないと罪悪感」「認められたいから」
- 同一化的調整(Identified Regulation) → 「自分の目標に役立つから」「将来に必要だから」
- 統合的調整(Integrated Regulation) → 「自分の価値観やアイデンティティと一貫しているから」
この③・④の段階が 「内在化された外発的動機」 と呼ばれます。
特徴
- 自律性が高い 外発的動機でありながら、「やらされ感」が減っている。
- 持続力がある 内発的動機ほど自然ではないが、単なるご褒美狙いよりずっと長続きする。
- 自己成長や長期目標と結びつきやすい 将来のキャリアや人生の方向性とリンクする。
具体例(学習場面)
- 「親に言われたから」ではなく、 →「将来やりたい職業に必要だから勉強する」
- 「テストで褒められるため」ではなく、 →「自分の目標大学に進むために努力する」
- 「とにかく義務だから」ではなく、 →「知識を身につけて社会で役立つ自分になりたい」
まとめ
🔹 内在化された外発的動機は、外から来た理由を「自分の価値観」と融合させた動機。
🔹 完全な内発的動機ではないが、学習の持続や成長には非常に強力。
🔹 「なぜそれを自分はやるのか?」を考え、個人の目標・価値観に結びつけることがカギ。