内在化された外発的動機

目次

はじめに

この記事は勉強ができるようになる方法を体系的にまとめた「勉強力の論理構造」の② Motivation System(動機・目標設計)を最適化する方法の1つ、その中でも① 動機の源泉に含まれる「内在化された外発的動機」について書いています。① 動機の源泉をまだ読んでいない方は先に下の記事を読むことをお勧めします。

内在化された外発的動機について

勉強や努力を続ける動機には「外的動機(テスト、報酬)」と「内発的動機(楽しさ、好奇心)」があります。その中間に位置し、長期的に続けやすいのが「内在化された外発的動機」です。内在化された外発的動機は「やらされ感が少なく、長期的に続けやすい」という特徴があり、内発的動機と外的動機の中間的な位置にあります。順を追って詳しく解説します。

1. 定義

内在化された外発的動機とは:

  • 外的な目標や要請(試験合格、資格取得、親の期待など)があるが、
  • その目標が自分の価値観や自己像と一致している場合の動機。

簡単に言うと、「これは自分にとって意味がある」と納得して行う勉強です。

2. 例

  • 「医師になりたい」→「人を助けたい」という自分の価値観と直結
  • 「プログラミングスキルを身につけたい」→「将来フリーランスとして働きたい」という目標と一致
  • 「資格を取る」→「キャリアアップのために自分に必要」と納得している場合

ポイントは、外的要因が自分の内面的価値観と結びついているかどうかです。

単なる親の期待や社会的圧力だけだと「やらされ感」が残るので内在化とは言えません。

3. 特徴

  • やらされ感が少ない:目標が自分の価値観と一致しているので、義務感より納得感で動ける
  • 長期的に続きやすい:将来の自分にとって意味があると感じるため、短期的な誘惑や挫折に強い
  • 自己効力感が高まりやすい:目標達成が自分の成長や自己像に直結する

4. 問題点・落とし穴

  1. 「なぜ大事か?」を自分で見つけないと弱まる
    • 目標が漠然としていたり、価値観とのつながりを意識していないとモチベーションが持続しにくい。
  2. 価値観や進路が変わると崩れる
    • 例えば、最初は「医師になりたい」と思っていたけれど、進路や考え方が変わるとモチベーションも揺らぐ。
  3. 外部の目標と混同しやすい
    • 「親の期待」「世間体のため」など、自分の価値観ではなく外部の目標を内在化しているつもりになってしまうことがある。

5. 活かし方のポイント

  • 価値観との紐づけを意識する:なぜその勉強が自分にとって意味があるか、言語化する
  • 小さな達成感を組み合わせる:短期目標を内在化された目標に結びつける
  • 定期的に振り返る:価値観や目標の変化を確認し、必要に応じて目標を調整する

まとめ

内在化された外発的動機は「やらされ感が少ない外的目標」と考えるとわかりやすいです。

  • 短期のプレッシャーに頼らず、自分の価値観や自己像に沿った長期的学習を支える動機です。
  • ただし、自分の価値観との結びつきを意識しないと弱くなるため、常に「なぜ重要か」を自問することが大切です。

内在化された外発的動機の問題点

内在化された外発的動機には非常に有効な面がありますが、問題点もあります。順に詳しく解説します。

1. 「なぜ大事か?」を自分で見つけないと弱まる

  • 内在化された外発的動機は、外的目標が自分の価値観と一致していることが前提です。
  • もしそのつながりを自覚していなかったり、言語化できていなかった場合、モチベーションが自然と低下してしまいます。
  • 例:資格を取る理由を「将来役に立つから」と思っているだけで、具体的な自分の人生や目標に結びつけていない場合、試験勉強の途中で挫折しやすくなる。

2. 価値観や進路が変わると崩れる

  • 人の価値観や目標は変化します。
  • 内在化された外発的動機は「今の自分にとって意味がある」ことが前提なので、価値観が変わるとモチベーションも揺らぎます。
  • 例:医師になりたいと思っていたが、別の道を選んだ場合、そのための勉強は意味を失い、やる気が下がる。

3. 外部の目標と混同しやすい

  • 「親の期待」「会社や学校の要求」など、外部の圧力を内在化したつもりになってしまうことがあります。
  • これだと本当の自分の価値観とは結びついていないため、やらされ感が残りやすい
  • 結果、長期的な学習支援にはなりにくく、ストレスや自己否定につながる可能性があります。

4. 特徴からくる落とし穴

  • 長期的に続きやすいとはいえ、短期的な刺激や危機感がないと最初の一歩を踏み出しにくい場合があります。
  • 内在化が進んでいても、行動に移すためには一定の外的きっかけ(締め切りや小さな目標設定)が必要なことがあります。

まとめ

  • 内在化された外発的動機は長期的学習に強いが、価値観との結びつきを意識しないと弱い
  • 価値観や目標の変化に柔軟に対応できるよう、定期的に振り返ることが大事
  • 外部圧力との混同に注意して、本当に自分の納得する目標かを確認する

まとめ

この記事を読んで「内在化された外発的動機」について分かってもらえると嬉しいです。

↓ 勉強ができるようになる方法の全体像が知りたい方は下の記事をお読みください。

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