国際標準教育分類(ISCED)

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国際標準教育分類(ISCED)

こでいう「国際標準教育分類」は、一般に UNESCO(ユネスコ)の ISCED(International Standard Classification of Education:国際標準教育分類) を指します。

ISCEDは、各国で名称や制度が違う教育を、「国際的に比較できる共通の物差し」に変換するための分類体系です。たとえば、日本の「高校」とアメリカの「High School」とドイツの「Gymnasium」は制度としては同じではありませんが、ISCEDを使えば教育段階として比較できます。UNESCO統計研究所(UIS)が中心となって整備しています。(UISデータブラウザー)

特に重要なのは、ISCEDが単純な「学校種の一覧」ではなく、教育を複数の軸から分類する体系だということです。

1. ISCED全体の構造

現在の中心的な枠組みは ISCED 2011 です。

教育段階(Level)は次の 9段階、0〜8 に分かれます。(ユネスコ統計局)

レベル英語日本語の概訳日本の教育との対応イメージ
ISCED 0Early childhood education幼児期教育幼稚園・保育所等
ISCED 1Primary education初等教育小学校
ISCED 2Lower secondary education前期中等教育中学校
ISCED 3Upper secondary education後期中等教育高校
ISCED 4Post-secondary non-tertiary education中等後非高等教育高校卒業後の一部職業教育等
ISCED 5Short-cycle tertiary education短期高等教育短大・高等教育の短期課程等
ISCED 6Bachelor’s or equivalent学士または同等大学学部
ISCED 7Master’s or equivalent修士または同等大学院修士
ISCED 8Doctoral or equivalent博士または同等大学院博士

ただし、「ISCED 6=必ず日本の大学学部」という意味ではありません。

ISCEDは各国の制度そのものを統一するものではなく、各国の教育プログラムを共通基準に従って分類するものだからです。(ユネスコ統計局)

2. ISCED 0:幼児期教育

Early childhood education

ISCED 0は、学校教育以前の幼児期の組織的な教育です。

単なる「子どもを預かるサービス」とは区別されます。

目的としては、

  • 認知的発達
  • 身体的発達
  • 社会的発達
  • 情緒的発達
  • 他者との関わり
  • 初歩的な学習への準備

などがあります。

つまり、

「小学校に入る前の子どもの発達・学習を支援する教育」

と考えると分かりやすいです。UNESCOも、幼児期教育を家庭外で行われる組織的な教育への導入として位置づけています。(UISデータブラウザー)

日本の場合

典型的には、

  • 幼稚園
  • 認定こども園等の教育部分

などが関係します。

ただし、日本の「保育所」という制度名だけを見て機械的にISCED 0と決めるわけではありません。実際の教育プログラムの性質によって分類されます。

3. ISCED 1:初等教育

Primary education

日本でいうと基本的に小学校段階です。

ここで重要なのは、

基礎的な読み・書き・計算を身につける段階

ということ。

UNESCOは、ISCED 1を、

  • literacy(読み書き能力)
  • numeracy(数量・計算能力)
  • 基礎的な知識
  • 個人的・社会的発達

などの基盤を形成する教育として説明しています。(UISデータブラウザー)

この段階では、一般に専門分化はまだ小さいです。

つまり、「特定分野の専門家になるための教育」ではなく、「その後のあらゆる学習の土台を作る教育」です。

4. ISCED 2:前期中等教育

Lower secondary education

日本の中学校段階におおむね相当します。

ISCED 1で身につけた基礎を発展させ、

  • 数学
  • 国語・言語
  • 理科
  • 社会
  • 外国語
  • その他の教科

など、より教科中心・専門的な内容へ移っていきます。

ISCED 2では、ISCED 1よりも理論的な概念が増え、教科ごとに専門性を持つ教師が担当する形も一般的になります。(UISデータブラウザー)

非常に大ざっぱにいうと、

ISCED 1:基礎を作る

ISCED 2:教科ごとの体系的学習を始める

という関係です。

5. ISCED 3:後期中等教育

Upper secondary education

日本の高校段階におおむね対応します。

ここから教育の方向性がかなり分岐します。

たとえば、

  • 大学進学準備
  • 職業教育
  • 技術教育
  • 専門的訓練

などです。

そのため、

「高校=ISCED 3」

というより、

「高校段階に相当する教育プログラムをISCED 3として分類する」

と考えたほうが正確です。

ここがISCEDを理解するうえでかなり重要です。

6. ISCED 4:中等後・高等教育前

Post-secondary non-tertiary education

ここは日本人には少し分かりにくい分類です。

英語では Post-secondary non-tertiary

つまり、

中等教育(高校など)は修了したが、高等教育(tertiary education)にはまだ入らない教育

です。

位置関係は、

高校相当

→ ISCED 4

→ 高等教育

というイメージです。

たとえば、ある国で高校卒業後に、

  • 職業資格を取得する
  • 特定職種への準備教育を受ける
  • 高等教育に進むための補完的教育を受ける

といったプログラムが存在する場合、このレベルに分類されることがあります。

7. ISCED 5:短期高等教育

Short-cycle tertiary education

ここから**高等教育(tertiary education)**に入ります。

ISCED 5は、

比較的短期間で、高度な知識・技能を身につける高等教育

です。

典型的には、

  • 短期大学型プログラム
  • 高度職業教育
  • 技術者教育

などが該当し得ます。

日本では「短期大学」が代表的なイメージですが、国によって制度はかなり違います。

重要なのは、

ISCED 5 → ISCED 6 → ISCED 7 → ISCED 8

と、高等教育の中にも段階があることです。

8. ISCED 6:学士または同等

Bachelor’s or equivalent

ここがいわゆる学士レベルです。

日本なら、

  • 4年制大学の学部
  • 学士課程

などが典型です。

ここでは、高度な専門知識を体系的に学び、

  • 専門分野の理解
  • 理論
  • 方法論
  • 問題解決
  • 一定程度の研究能力

などを身につけます。

ただしISCEDは「4年制大学」という学校形態を分類しているのではありません。

あくまで、

その教育プログラムがどの程度の複雑性・専門性を持つか

という観点から分類します。

ISCEDの「Level」は、教育内容の複雑性と専門性の程度を表すものです。(ユネスコ統計局)

9. ISCED 7:修士または同等

Master’s or equivalent

日本では、

  • 修士課程
  • 大学院修士

が典型です。

ISCED 6よりも、

  • 高度な専門性
  • 理論的理解
  • 専門的問題解決
  • 研究能力

などが要求されます。

つまり、

ISCED 6

「ある専門分野を体系的に学んだ」

から、

ISCED 7

「その専門分野について、より高度・専門的な問題を扱える」

へ進むイメージです。

10. ISCED 8:博士または同等

Doctoral or equivalent

最上位がISCED 8です。

日本なら典型的には、

  • 博士課程
  • 博士号取得を目的とする教育

です。

特徴は高度な研究活動です。

単に「専門知識をたくさん知っている」というだけではなく、

既存の知識体系に対して、新しい知識を生み出すこと

が重要になります。

したがって、

学士 → 修士 → 博士

という日本の大学院制度は、ISCEDでは基本的に

6 → 7 → 8

として捉えることができます。

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