はじめに
この記事は学校関連の記事で最初に読んでほしい、各学校の記事を読む前に知っておいてほしい前提知識をまとめたものです。
学校関連の記事と教科関連の記事の違い
学校 → 教育制度・学校という「仕組み」を理解する
教科 → 国語・数学・英語・理科・社会など「何を学ぶか」を理解する
学校とは
学校とは、教師による幼児・児童・生徒・学生などに対する教育の制度の中核的な役割を果たす機関やその施設など。
学校教育以外に教育って何がある?
教育を大きく分類すると、代表的に次のような概念があります。
| 区分 | 概要 | 代表例 |
|---|---|---|
| 学校教育 | 学校制度の中で行われる教育 | 小中高、大学 |
| 家庭教育 | 家庭・親子関係を基盤とする教育 | しつけ、生活習慣、価値観 |
| 社会教育 | 学校以外で社会生活の中で行われる教育 | 公民館、図書館、成人教育 |
| 生涯学習 | 人生全体にわたる学習 | 成人学習、リカレント教育 |
| 職業教育・職業訓練 | 職業能力を育成する教育 | OJT、職業訓練、研修 |
| 企業内教育 | 企業が従業員に行う教育 | 新人研修、管理職研修 |
| 民間教育 | 民間事業者による教育 | 塾、予備校、通信教育 |
| 地域教育 | 地域社会を基盤とした教育 | 青少年活動、地域活動 |
| 市民教育 | 市民として必要な知識・態度等を育てる | 主権者教育、消費者教育 |
| 自己教育・独学 | 本人が主体となる学習 | 読書、オンライン学習 |
| 非公式な学習 | 日常生活・経験から自然に生じる学習 | 人間関係、仕事、趣味 |
ただし、ここには分類軸の違う概念が混ざっています。
ここで大事なのは教育は学校教育が全てだと思わないことです。

教育制度は「誰が作っているのか」
「教育制度は誰が作っているのか?」を一言で言うと、国の教育制度は、政治・行政・専門家・学校現場・社会が相互に影響しながら作っています。
日本を例にすると、ざっくり次の構造です。
日本の教育制度を作る主なプレイヤー
| プレイヤー | 主な役割 |
|---|---|
| 国会 | 教育に関する法律を制定する |
| 文部科学省 | 法律に基づき、教育政策・学習指導要領などを設計する |
| 中央教育審議会 | 教育政策について専門的に審議・提言する |
| 内閣・政府 | 国家としての教育政策の方向性や予算を決める |
| 都道府県・市区町村 | 学校の設置・運営、教員配置などを担う |
| 教育委員会 | 地方の教育行政を担う |
| 学校・教師 | 制度の範囲内で教育を実際に運用する |
| 家庭・社会・企業 | 教育への要求や価値観を通じて制度に影響する |
ただし、ここで重要なのは、「制度を作る人」と「制度を実際に動かす人」は違うということです。
たとえば「小学校では何を教えるのか」という問題なら、
国会 → 法律
↓
文部科学省 → 学習指導要領など
↓
教育委員会 → 地域での実施
↓
学校 → 教育課程・授業
↓
教師 → 実際の教育
というように、上から下へ制度が具体化されていきます。
さらに深く見ると
「誰が作っている?」という問いは、実は3段階に分けた方が面白いです。
① 法的な教育制度を誰が決める?
→ 国会・政府・文部科学省・地方自治体など
② 教育の中身を誰が決める?
→ 文科省、中央教育審議会、専門家、教育現場など
③ そもそも「何のために教育するのか」を誰が決める?
→ これは政治だけではなく、社会全体の価値観が大きく関わります。
こうした問いになると、教育制度は単なる行政システムではなく、「社会がどんな人間を育てたいと思っているか」を反映したシステムだと見えてきます。
ここで大事なのは制度は完璧じゃない、良い面と悪い面があるということです。
国際標準教育分類(ISCED)
ここでいう「国際標準教育分類」は、一般に UNESCO(ユネスコ)の ISCED(International Standard Classification of Education:国際標準教育分類) を指します。
ISCEDは、各国で名称や制度が違う教育を、「国際的に比較できる共通の物差し」に変換するための分類体系です。たとえば、日本の「高校」とアメリカの「High School」とドイツの「Gymnasium」は制度としては同じではありませんが、ISCEDを使えば教育段階として比較できます。UNESCO統計研究所(UIS)が中心となって整備しています。(UISデータブラウザー)
特に重要なのは、ISCEDが単純な「学校種の一覧」ではなく、教育を複数の軸から分類する体系だということです。
ISCED全体の構造
現在の中心的な枠組みは ISCED 2011 です。
教育段階(Level)は次の 9段階、0〜8 に分かれます。(ユネスコ統計局)
| レベル | 英語 | 日本語の概訳 | 日本の教育との対応イメージ |
|---|---|---|---|
| ISCED 0 | Early childhood education | 幼児期教育 | 幼稚園・保育所等 |
| ISCED 1 | Primary education | 初等教育 | 小学校 |
| ISCED 2 | Lower secondary education | 前期中等教育 | 中学校 |
| ISCED 3 | Upper secondary education | 後期中等教育 | 高校 |
| ISCED 4 | Post-secondary non-tertiary education | 中等後非高等教育 | 高校卒業後の一部職業教育等 |
| ISCED 5 | Short-cycle tertiary education | 短期高等教育 | 短大・高等教育の短期課程等 |
| ISCED 6 | Bachelor’s or equivalent | 学士または同等 | 大学学部 |
| ISCED 7 | Master’s or equivalent | 修士または同等 | 大学院修士 |
| ISCED 8 | Doctoral or equivalent | 博士または同等 | 大学院博士 |
ただし、「ISCED 6=必ず日本の大学学部」という意味ではありません。
ISCEDは各国の制度そのものを統一するものではなく、各国の教育プログラムを共通基準に従って分類するものだからです。(ユネスコ統計局)

教育水準別
上記でISCEDで教育段階についての全体像がわかってもらえたと思います。ここでは教育水準の各水準について詳しく説明します。ちょっと違いますが、教育段階も教育水準も似たようなものです。大事なのは教育水準は4つあるということです。
1. 就学前教育(Early Childhood Education)
対象:幼児期(おおむね0〜6歳)
学校教育に入る前の教育です。幼稚園、保育所、認定こども園などが代表的です。
主な目的
- 基本的な生活習慣を身につける
- 言葉やコミュニケーション能力を育てる
- 他者との関わり方を学ぶ
- 遊びを通じて認知能力・身体能力を育てる
- 自己肯定感や自律性の基礎をつくる
この段階では、「知識を教え込む」よりも、遊び・体験・人との関わりを通じた発達が重要になります。
2. 初等教育(Primary Education)
対象:おおむね6〜12歳
日本では基本的に小学校にあたります。
主な目的
- 読む・書く・計算する能力
- 基礎的な知識・技能
- 学習する習慣
- 集団生活のルール
- 他者と協働する能力
- 好奇心や探究心
この段階では、教育の中心が「生活・遊び」→「体系的な学習」へと移っていきます。
特に重要なのが、後の学習の土台となる読み書き・数学・学習習慣です。
3. 中等教育(Secondary Education)
対象:おおむね12〜18歳
日本では主に中学校・高等学校にあたります。
一般的には、
- 前期中等教育:中学校
- 後期中等教育:高校
と分けます。
主な目的
- 基礎教育から専門的・抽象的な学習への移行
- 論理的思考力
- 批判的思考力
- 問題解決能力
- 社会・政治・経済への理解
- 自分の進路・職業について考える
- より高度な専門知識の獲得
ここから教育内容がかなり高度になります。
例えば、
初等教育「分数とは何か?」
↓
中等教育「なぜこの数学的法則が成り立つのか?」
↓
高等教育「この法則を一般化すると何が言えるか?」
というように、具体的な知識から抽象的・専門的な思考へ発展していきます。
4. 高等教育(Tertiary / Higher Education)
対象:18歳以降が中心
大学、短期大学、専門学校、高等専門教育などが含まれます。
主な目的
- 専門知識・専門技能
- 高度な問題解決能力
- 研究能力
- 批判的・分析的思考
- 職業能力
- 新しい知識を生み出す能力
高等教育では、単に「既存の知識を覚える」だけではなく、「既存の知識を使って、新しい問いを考え、答えを生み出す」ことが重要になります。
大学院まで含めると、さらに研究・知識創造の比重が高くなります。
義務教育について
義務教育とは、簡単に言えば、すべての子どもが、一定期間、教育を受ける権利を保障されると同時に、保護者には子どもを就学させる義務がある制度です。
日本では、原則として小学校6年間+中学校3年間の9年間が義務教育です。
- 子どもの権利:教育を受ける権利がある
- 保護者の義務:子どもに普通教育を受けさせる義務がある
- 無償:公立小中学校の授業料は原則無料
目的は、読み書き・計算などの基礎学力だけでなく、社会で生きるための考える力・他者と関わる力・社会の一員としての基礎を身につけることです。
一言でいうと、「すべての子どもに、社会で生きるための最低限の教育を保障する仕組み」です。
ここで大事なことは義務教育は社会で生きるための最低限の教育だということです。
なので義務教育の勉強はそれだけ大事だということです。
学習指導要領について
学習指導要領とは「日本の学校で、何を・どんな力を・どのように学ばせるか」を国が示した基準です。
特に現在は、
- 知識・技能
- 思考力・判断力・表現力
- 学びに向かう力・人間性
の3つの力を育てることを重視しています。
一言で言えば、学習指導要領=日本の学校教育の「設計図・基本ルール」です。
ここで大事なことは学校生活は学習指導要領をもとにできているということです。
なので学習指導要領を見て、学校生活の参考にすることができるといいと思います。

日本の学校制度の良いところ
1. 同年代の集団で生活できる
基本的に同じ年齢の子どもたちを一つの学年・クラスにまとめます。
そのため、
- 同年代の友人を作る
- 協力する
- 意見の違いを経験する
- 人間関係を学ぶ
といった経験をしやすいです。
「同年代の集団に所属する場所」が全国的に用意されていることは大きなメリットです。
2. 毎日の生活リズムが作りやすい
学校には、
- 登校時間
- 授業
- 休み時間
- 昼食
- 掃除
- 下校
という決まった生活リズムがあります。
特に子どもにとっては、自分で生活を完全に管理しなくても一定のリズムを作れるというメリットがあります。
3. 「学校に行けば人と会える」
学校は、勉強だけでなく人との接点を強制的に作る場所でもあります。
家庭環境が違う子どもたちが毎日顔を合わせるため、
家族 → 学校 → 社会
という形で、家庭以外の人間関係を経験できます。
4. 学校行事が多い
運動会、文化祭、修学旅行、遠足、卒業式など、学校単位で様々な活動をします。
これによって、
「自分一人ではなく、集団で一つのものを作る」
経験ができます。
5. クラス・担任という「居場所」がある
「○年○組」という所属があり、担任教師もいます。
これは、
「自分はこの集団に所属している」
という感覚を持ちやすい仕組みです。
日本の学校制度の悪いところ
1. 年齢で区切りすぎる
日本の学校は基本的に、
6歳 → 小1
7歳 → 小2
8歳 → 小3
という年齢基準の学年制です。
しかし、人間の成長速度は同じではありません。
例えば、
- 精神的には大人っぽい10歳
- 学習面では遅れている10歳
- 特定分野だけ突出している10歳
が同じ「10歳」という理由で、ほぼ同じ学校システムに入ります。
2. 「同じクラスで同じ時間」が基本
これが日本の学校制度のかなり大きな特徴です。
例えば数学が得意な子も苦手な子も、
9:00〜9:50 → 数学
9:50〜10:40 → 国語
という同じ時間割で動きます。
個人ではなく、クラス単位で学校生活が設計されているわけです。
効率はいい一方、個人差への対応は難しくなります。
3. クラス替えによって人間関係をリセットする
小中学校では定期的にクラス替えをすることがあります。
メリットとしては、
固定された人間関係から抜けられる
ことがあります。
一方で、
「せっかく築いた人間関係がリセットされる」
という側面もあります。
また、クラスという閉じた集団の中で人間関係が固定されると、いじめなどの問題が発生した際に逃げにくくなることもあります。
4. 「学校生活への適応」がかなり重要になる
日本の学校では、
- 時間を守る
- 制服を着る
- 校則を守る
- 授業中は座る
- 集団で移動する
- 提出物を出す
- 行事に参加する
など、学校というシステムに適応することが求められます。
これは社会生活の訓練にもなりますが、
学校に適応できない子=問題がある子
という見方につながる危険があります。
5. 校則による生活管理が強い
学校によって差はありますが、
- 髪型
- 服装
- 持ち物
- スマートフォン
- 放課後の行動
など、学校が生徒の生活にかなり細かく関与する場合があります。
これは秩序を維持する一方で、
「自分で判断して行動する経験」を奪ってしまう可能性があります。
6. 学校と家庭・地域の境界が曖昧になりやすい
日本では学校が、
勉強する場所
だけではなく、
生活指導
道徳
食事
清掃
部活動
進路
人間関係
生活習慣
までかなり広範囲を担っています。
そのため、学校に求められる役割が非常に大きくなります。
7. 部活動が「学校制度」に組み込まれている
日本の学校の特徴として非常に大きいです。
海外では学校外のスポーツクラブなどが担う活動を、日本では学校の部活動が担ってきました。
メリットは、
誰でも比較的低コストでスポーツ・文化活動に参加できること。
一方で、
- 長時間活動
- 教師の負担
- 上下関係
- 活動への強制感
などの問題も生まれます。
日本の「学校制度」の特徴
かなり単純化すると、
「一人ひとりを個別に管理する」というより、「同年代の集団を一つの単位として生活させる」
制度です。
イメージすると、
個人
→ 学年
→ クラス
→ 時間割
→ 学校行事
→ 校則
→ 部活動
→ 学校生活
という構造になっています。
長所:集団生活・所属感・生活習慣・協調性を作りやすい。
短所:個人差・自由・多様な生き方・個人のペースを扱いにくい。
なので、日本の学校制度を一言で評価するなら、
「個人を育てるシステム」というより、「子どもを集団として社会化するシステム」として非常に強い。
という捉え方ができます。
1番伝えたいこと
各学校の記事







まとめ
ここから各学校の事柄についての記事を派生する形で書いています。より具体的な内容が知りたい方はまずは各学校にある関連記事から読んでいただけると全体像がよりわかると思います。